沖縄料理の特長やレシピのヒントについて掲載しています。
なお、各説明の最後には、商品へのリンクが張ってあります。お求めの際にはそちらをご覧ください。
豚肉料理
日本本土では仏教の教えが広く一般に広まり、豚肉等の肉類が食事に出されることが無かったのですが、沖縄では仏教も取り入れられているものの自然崇拝や先祖崇拝が中心となっていたため、古くから豚肉が食材として調理されてきました。
また、日本本土と中国との交易拠点となっていたため、中国からの食文化も取り入れられてきました。
豚肉部位の名称
沖縄料理の特長は、豚肉を使った料理です。琉球王朝時代の宮廷料理であるラフテーを始め、ゴーヤチャンプルー、ソーキ汁、スーチカーなどの家庭料理など、色々な料理方法があります。各部位に「テビチ(足先)」「ハラガー(三枚肉)」「ソーキ(あばら肉)」「チラガー(顔皮)」「ミミガー(耳)」など方言名がついており、古くから食文化があったことがうかがえます。
市場やスーパーに行けば、豚の色々な部位が売られています。 右図にはでていませんが、内蔵は中身と呼ばれ、下ごしらえで丁寧に脂とあくをとり、あっさりと煮込んだ中味汁は人気メニューです。
じっくり煮込んだ豚肉料理
一般に豚肉は脂っこいというイメージが強いのですが、沖縄ではあらかじめ塩をすり込み、煮込みながら脂をとり、脂抜きを行うため、比較的あっさりと仕上がっています。ラフテーも三枚肉(バラ肉)を煮込んだいわゆる「豚角煮」ですが、それほど脂っこくありません。とてもやわらかく、甘〜い肉汁がなんともいえません。
→ラフテー
また、かなり手の込んだ料理もあります。前述しましたが豚の内臓を使った中味汁は、臭みを無くすため、何度も脂やあくを取り、あっさりとしたスープになっています。
宴会の締めや、二日酔いの朝には中味汁はとても美味しいです。
→中味汁
→ワンランク上の中味汁
他に人気の豚肉料理としてはソーキと呼ばれるあばら肉をじっくりと煮込んだソーキ汁や、ソーキの軟骨部分をトロトロになるまで煮込んだ軟骨ソーキは、おかずとして、酒の肴として、とても美味しい料理です。
→軟骨ソーキ
→炙り軟骨ソーキ
ポークランチョンミート(ポーク缶)
豚の加工品といえばポークランチョンミート。アメリカやオランダ、デンマークなどの海外で作られ販売されています。
日本では沖縄で90%以上消費されるそうです。保存がきき、美味しく、簡単に料理ができるので各家庭に常備されています。
ポークを使った有名な料理は何といってもポークたまごでしょう。コンビニのおにぎりコーナーにもポーク卵おにぎりがあります。食堂のメニューにもあります。また、ポークは「ゴーヤーチャンプルー」や「ソーメンチャンプルー」といったチャンプルー料理にもよく使われます。
→ポークランチョンミート
伝統的な豚肉保存料理
伝統的な加工品では、保存食として豚三枚肉を塩漬けにした「スーチカー(スーチキー)」があります。これはベーコンのようなものですが、余分な脂分を下ごしらえで抜いているので、ベーコンみたいに脂っこくなく、わりとあっさりとしています。
少し炙ってシークワーサーかレモンをかけるととても美味しいですよ。また、島豆腐をはさんで食べても美味しいです。
豚三枚肉の脂をひたすら抜いて乾燥させた「アンダカシー」というものもあります。お湯で戻して具や出汁に使ったり、少し炙ると酒の肴になります。
→スーチカー
豚肉料理レシピのポイント
・豚肉は出来るだけあらかじめ塩でもみ、炊きながら脂を取り除きます。炊くときにショウガやネギを入れると臭みも和らぎます。
・ゆで汁を冷ますと表面に脂が固まります。ラードですので他の料理に使うことができます。ただし、酸化しやすいので早めに使用します。
沖縄の野菜
ゴーヤー(苦瓜)
沖縄の野菜として最も有名なものは、ゴーヤー(苦瓜)ですが、ゴーヤーはそのほろ苦さが美味しさの素ですが、苦みが苦手な人は、ゴーヤーをスライスして塩もみしたり、水にさらすと苦みがましになります。また、スライスしたものを天ぷらにすると苦みが和らぎます(苦みがなくなるとゴーヤーの美味しさが無くなる気もしますが。。。)。
→ゴーヤー(苦瓜)
ナーベラー、ナーベーラ(食用へちま)
ゴーヤーと同じウリ科のナーベラー(へちま)は、意外な食感で美味しい野菜です。最初は抵抗感があるかもしれませんが、麩かゼリーのような食感です。主に「ンブシー」といって味噌と煮込んだりします。沖縄へちまはスジが入りにくい品種で、若い実を食べます。
※ヘチマ料理レシピのポイント
・へちまは皮をむいて、種もワタもそのまま料理します。火を通すと水分がかなり出てきます。
→ナーベラー(へちま)
青パパイア
パパイアは、沖縄では野菜として、パパイアは大根のように料理します。角切りにして煮込んだり、千切りにして炒めたりサラダにしたりします。千切りはシリシリーといって専用の下ろし金で調理します。人参などもシリシリーします。沖縄料理店でメニューにシリシリーとあれば千切り状になっているということです。
※パパイア料理レシピのポイント
・パパイアにはパパインというタンパク質分解酵素が含まれてますので、肉と一緒に煮込むと肉が軟らかくなります。
・青パパイアは若い実を収穫するので、置いていてもフルーツパパイアほど甘くなりません。
→パパイア
シマナー(島菜)
葉野菜ではシマナー(島菜)と呼ばれるカラシナの一種が有名です。辛味はそれほど強くないのですが、香りがいいので、私はしょっちゅう食べています。塩もみしてしんなりとさせてから調理します。シマナーがもっとも合うのは、島豆腐と一緒に炒めて、そのまま少し煮込んだイリチャーがとても美味しいです。居酒屋ではいつも注文しています。
→シマナー
ウンチェーバー(空芯菜)
珍しい葉野菜としては、ウンチェーバー(空芯菜)でしょう。沖縄では夏場の一般的な葉野菜です。
ウンチェーバーはホウレンソウのような味がするのですが、その美味しさは食べたときの歯ごたえです。というのも漢字で書くとわかるのですが、マカロニのように茎が空洞状になっていて、煮汁などが中に入るため噛んだときに、煮汁が口の中に広がりとても美味しいです。
ただ、このウンチェーバーにつく害虫(アリモドキゾウムシ)が本土で未発生なため、植物防疫上、本土に移送することが出来ない野菜です。
その他の島野菜
他にも葉菜類では、ンジャナ(苦菜)、カンダバー(芋つる)、ハンダマ(水前寺菜)、長命草(さくな)などがあります。
根菜類では、島ごぼう、島だいこんなどがあるのですが、有名なのは島にんじんでしょう。島にんじんは綺麗な黄色の細長いにんじんです。金時人参のように甘味が強い人参です。
果菜類では、モーウィ(赤毛瓜)、シカクマーミ(四角豆)、島とうがらしなどがあります。
各々についてはショップHPで紹介していますのでそちらを参考にしてください。
→島野菜
野菜料理レシピのポイント
沖縄での料理法の一般的な呼び名です。呼び名は人それぞれで厳密には決まっていません。
・チャンプルーとは炒め料理です。混ぜ込み料理ですね。
・イリチャーとは炒めて煮込む料理です。
・シリシリーとは千切りのような状態で、シリシリー用の下ろし金を使います。
・ンブシーとは味噌煮です。
・スーネーとは豆腐の白和え料理です。
・プットゥルーとは煮込んでトロトロ状になったものです。
沖縄の海産物
沖縄は四方が海に囲まれているので海産物が豊富にあります。
沖縄の魚料理
色とりどりの魚は、刺身や煮つけ、汁物、唐揚げ、バター焼き、天ぷらなどにして食べます。一般に暖かいところの魚は淡泊と言われるように、沖縄の魚は淡泊な魚が多いです。そこで、バター焼きや天ぷらが好まれます。特に天ぷらは人気があり、街中にも天ぷら屋があり、天ぷらをおやつとしても食べています。淡泊な身が天ぷらにぴったり合います。観光ガイドでも有名な奥武島の天ぷら屋さんはいつも行列が出来ています。沖縄での魚の天ぷらが、本土と大きく異なることは、本土では天ぷらといえば白身魚ですが、沖縄では赤身魚も天ぷらにしています。赤身魚は脂分が多いので天ぷらは嫌われますが、以外と美味しいですよ。
バター焼きもとても美味しいです。ビタローのバター焼きなどは、上品な白身でバターにあい、抜群の旨さです。
沖縄の海草料理
海草類では、沖縄で採れない昆布が人気です。北海道からの移入物ですが、もともと沖縄(琉球国)は中国や韓国といった大陸の中継貿易国として貿易拠点となっていたので、大陸への輸出品として北日本の昆布が出回ったそうです。昆布はクーブと呼ばれ、豚肉と炒めて煮込んだクーブイリチーは、熱いご飯に乗せてたべると最高です。沖縄料理での昆布は、出汁ではなく具として利用されています。だからクーブイリチーのように主役になったりします。また、出汁は主にカツオや豚で取っています。
アーサー(あおさ)
春にはアーサー(あおさ)が干潟で採れます。春の大潮の時は、日中にかなり潮が引くので、海一面がアーサーの綺麗な緑色になります。春には潮干狩りを兼ねてアーサー採りをしている人を多く見かけます。この時期には生アーサーが出回ります。
アーサーは、アーサー汁や味噌汁の具にしたりします。特にアーサー汁は沖縄料理では一般的な汁物です。
→アーサー(あおさ)
スヌイ(もずく)
あおさのシーズンに引き続いて採れるのがスヌイ(もずく)です。もずくは日本中で採れますが、沖縄産のもずくは「おきなわもずく」と呼ばれる種類で、他の産地のもずくよりも太く、プリプリッとしてとても美味しいです。天ぷらにしたり、卵焼きに入れたり、酢醤油など色々と料理して食べます。また、おきなわもずくには、抗ガン作用が期待されるフコイダンが多く含まれ、食用だけでなく医療面での研究が行われています。
→スヌイ(もずく)
海ぶどう
近年、ブームなのが海ぶどうでしょう。本名は「くびれづた」という海藻です。プチプチとした食感にトロッとしたイクラのような味がします。そのまま醤油やドレッシングで食べたり、ご飯に乗せて食べたりします。出回っているものは全て養殖もので、天然物は粒がでかく、あまり見た目もよくありません。
ひじき
沖縄では本島の与那原町で春にひじきが収穫されます。この時期には生のひじきも出回り、歯ごたえのあるおいしいひじきです。
ひじきは乾燥保存もできるので、春の収穫シーズン以外は乾燥ひじきが出回っています。
→ひじき
※海産物料理レシピのポイント
・沖縄は淡泊な魚が多いので、油を使った料理が合います。
・カラフルで綺麗な熱帯魚ですが、実は白身でしっくりとして美味しいです。
・生の海ぶどうは常温保存です。冷蔵庫に入れるとしぼんでしまいます。また、塩漬けのものはスジが入りお薦めできません。もっとも塩水蔵のものでは、プチプチ感が失われず美味しいものもあります。
・もずくは塩蔵では生もずくに比べるとプリプリ感が少し弱くなりますが、味はほとんど変わらず美味しいです。
島豆腐(シマドーフ)
沖縄の豆腐は「島豆腐」と呼ばれ、内地の豆腐と作り方から異なります。一般的な島豆腐は大きさも内地の豆腐の倍以上あり、1丁で約1kgぐらいです。また、水分量が少ないため堅く、内地では木綿豆腐であってもプラトレーに入って売られてますが、沖縄では普通のビニル袋に入っていたりします。また、水分が少ないため味も濃く、豆腐の美味しさが活きています。少し塩味も効いているので、何もかけずにそのままでも美味しくいただけます。
沖縄の島豆腐が内地の豆腐と違うのは、製造方法がまず異なります。内地の豆腐が大豆を粉砕した生呉を煮てから、豆乳を絞るのに対し、沖縄の島豆腐の場合には、生呉から豆乳を作り、それを煮て作るそうです。ようは煮た粉砕大豆から絞るか、粉砕大豆を絞ってから煮るかの違いだそうで、生しぼり法とも呼ばれるそうです。また、にがりも海に囲まれた沖縄なので、海水を用いたりしています。
おぼろ豆腐は内地でも豆腐料理屋の定番メニューですが、沖縄では「ゆし豆腐」と呼ばれ、普通に売られています。好みにより、少し出汁を加えたり、ネギをかけたりして食べます。
木綿豆腐を島豆腐代わりにする方法
1)木綿豆腐を皿に移し、全体に塩をまぶせます。塩は精製塩でなく、出来るだけ天然塩がいいでしょう。味塩はダメです。だいたい1丁あたり小さじ半分ぐらいがいいでしょう。全体になじまします。
2)そのまま電子レンジで1〜2分程度加熱し、皿などで上から重しをします。20〜30分ぐらいで水が抜けます。
沖縄料理のお薦め本
沖縄料理の参考本です。写真とレシピで色々と参考になります。
沖縄料理レシピブログです
沖縄料理レシピ「うりずん」
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色々と料理が増えました。